なぜそうなるか
家族葬や火葬だけでも、葬祭費は受け取れる?——横浜市は「火葬」も葬祭に含めると書き、額は札幌市が3万円、4つの市が5万円でした
身内を見送ったあと、少し落ち着いてから役所の手続きの一覧を眺めると、「葬祭費」という言葉が目に入ることがあります。
葬儀をした人に、健康保険からいくらか支給されるという説明です。
ただ、近ごろは家族だけで見送り、通夜や告別式を行わずに火葬場でお別れをする形も珍しくありません。そうした見送りでも「葬祭」と呼んでよいのか、迷う方もいるはずです。
金額についても、5万円と聞くことがある一方で、住んでいる場所によって違うという話もあります。申請にいつまでという期限があるのかも、気になるところです。
そこで、横浜市・大阪市・神戸市・名古屋市・札幌市の国民健康保険の案内と、会社員などが加入する協会けんぽの説明を開いてみました。
ここでは、それぞれの原文を引いて並べます。ご自身の場合にどれが当てはまるかは、この記事では判断しません。
・横浜市は、葬祭を「葬式・埋葬(土葬)・火葬」と書いている
・支給額は、札幌市が30,000円、横浜市・大阪市・神戸市・名古屋市が5万円(50,000円)
・申請できるのは、5つの市とも「葬祭を行った方」が基本(名古屋市は世帯主の場合もある)
・期限は、葬祭を行った日の翌日から2年(神戸市・札幌市・大阪市)
・会社の健康保険の加入者だった場合は、国保ではなく「埋葬料」の側になることがある
家族葬や火葬だけでも「葬祭」にあたるの?
告別式をしないで火葬だけにした場合も、葬祭費の対象になる?
横浜市の「葬祭費の支給」のページは、冒頭でこう説明しています。
括弧の中に、葬式と並んで火葬が書かれています。横浜市の書き方では、火葬を行った人も「葬祭を行った方」に入ると読めます。国民健康保険の加入者が死亡したとき、その葬祭(葬式・埋葬(土葬)・火葬)を行った方に葬祭費が支給されます。
ほかの4つの市のページには、葬祭の中身を言い換えた一文は見当たりませんでした。ただ、大阪市は申請に必要なものとして「埋・火葬許可証」を挙げています。お住まいの市区町村で扱いが違わないかは、その市区町村の案内で確かめてください。
いくら支給されるの?
葬祭費は、どこでも同じ額?
大阪市のページは、支給の条件と額を1文にまとめています。
大阪市国民健康保険の被保険者が亡くなられたときは、葬祭を行った方に50,000円を支給します。
神戸市も支給額を50,000円、横浜市は5万円と示しています。名古屋市の案内は次のとおりです。
一方で、札幌市の「死亡したとき(葬祭費)」のページは、支給額を30,000円としています。同じ国民健康保険の葬祭費でも、額は市町村によって違うということが、この5つを並べただけでも分かります。加入者が死亡したときに、葬祭費として世帯主または葬祭執行者に50,000円が支給されます。
誰が申請するの?
喪主でなければ申請できない?
神戸市は、申請者を「葬祭を行った方(喪主)」と示し、確認のための書類として次のものを挙げています。
喪主が確認できるもの(葬祭領収書・会葬御礼ハガキのコピーなど)
家族だけで見送った場合、会葬礼状を作っていないこともあります。横浜市は、確認に使える書類の例を広めに並べています。
火葬代の領収書や火葬の証明書も、横浜市では例として挙がっています。神戸市は、喪主と明記された書類が無い場合に誓約書を書いてもらう、という案内です。喪主の確認ができる書類(葬儀店の領収書、請求書、会葬礼状、火葬代の領収書、火葬・埋葬(土葬)証明書等)
申請する窓口にも注意が要ります。横浜市は、申請先について次のように念を押しています。
※申請先は申請する方がお住まいの区の保険年金課ではなく、亡くなられた方がお住まいだった区の区役所保険年金課になりますのでご注意ください。
いつまでに申請すればいいの?
葬儀のあと、落ち着いてからでも間に合う?
神戸市のページは、期限を短く書いています。
葬祭を行った日の翌日から2年を過ぎると支給されません。
札幌市のほうは「時効」という言葉を使います。
横浜市も、葬祭を行ってから2年で時効になると案内しています。起点は亡くなった日ではなく、葬祭を行った日という書き方が、3つの市で共通していました。※葬祭を行った日の翌日から起算して2年を過ぎると時効となります。
会社の健康保険に入っていた場合は?
亡くなった家族が会社員だったら、国保の葬祭費になる?
大阪市のページの「ご注意」には、次の一文があります。
他の健康保険などから葬祭費に相当する給付(埋葬料等)を受けることができる場合、大阪市国民健康保険からは葬祭費の支給はしません。
協会けんぽのよくある質問では、加入者本人が亡くなったときの扱いをこう説明しています。
被保険者に生計を維持されていた人に、申請により「埋葬料」として5万円が支給されます。
生計を維持されていた人がいないときは、実際に埋葬を行った人に、かかった費用が上限5万円の範囲で「埋葬費」として支給される、とも書かれています。その費用に何が入るかは、協会けんぽの「埋葬料・埋葬費」のページに例があります。
退職してから3か月以内に亡くなった場合などは、以前の健康保険から支給されることがある、と大阪市・横浜市・協会けんぽが3つとも触れています。亡くなる前にどの保険に入っていたかで、申請する先が変わることになります。霊柩車代、霊柩運搬代、霊前供物代、火葬料、僧侶の謝礼等の実費額です。
この記事で確認したこと
・横浜市は、葬祭を「葬式・埋葬(土葬)・火葬」と書いている
・額は札幌市が30,000円、横浜市・大阪市・神戸市・名古屋市が5万円
・申請するのは「葬祭を行った方」が基本で、名古屋市は世帯主も挙げている
・期限は葬祭を行った日の翌日から2年(神戸市・札幌市・大阪市・横浜市)
・会社の健康保険から埋葬料が出る場合、国保の葬祭費は出ない(大阪市)
見送りの形よりも先に、亡くなった方がどの保険に入っていたかを確かめると、申請先が見えてきます。
よくある質問
火葬だけの見送りでも、必ず葬祭費が出ますか
横浜市は葬祭に火葬を含めると書いていますが、今回開いたほかの4市のページには、その言い換えは見当たりません。お住まいの市区町村の扱いは、その市区町村の案内か窓口でご確認ください。
75歳以上の家族が亡くなった場合も、同じ窓口ですか
神戸市は、75歳以上の方が亡くなった場合は後期高齢者医療制度で手続きをするよう案内しています。横浜市のページも、対象を74歳以下の国民健康保険の加入者としています。
葬祭費と埋葬料を、両方受け取ることはできますか
大阪市は、他の健康保険などから埋葬料等を受けられる場合、国保からは葬祭費を支給しないと書いています。ご自身の場合にどちらに当たるかは、加入していた保険の窓口でお尋ねください。
この整理が変わる条件
- 横浜市・大阪市・神戸市・名古屋市・札幌市が、葬祭費のページを改めた場合
- 協会けんぽが、埋葬料・埋葬費の説明を改めた場合
- 国民健康保険や健康保険の給付について、法令や条例が改正された場合
出典
- 横浜市「葬祭費の支給」 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/kokuho/iryo/konnatoki/funeral.html
- 大阪市「葬祭費の支給」 https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000369684.html
- 神戸市「葬祭費の支給(国保)」 https://www.city.kobe.lg.jp/a52670/kurashi/support/insurance/sosaihi/sosaihishinsei.html
- 名古屋市「国民健康保険の葬祭費支給制度の内容・手続が知りたい。」 https://faq.city.nagoya.jp/faq/detail.aspx?id=689
- 札幌市「死亡したとき(葬祭費)」 https://www.city.sapporo.jp/hoken-iryo/kokuho/sosai.html
- 協会けんぽ「ご本人・ご家族が亡くなったとき(埋葬料・埋葬費)」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/faq/benefit/008/index.html
- 協会けんぽ「埋葬料・埋葬費」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat315/sb3100/r149/
申請の前に、亡くなった方が加入していた保険の窓口と、お住まいだった市区町村の最新の案内をあわせてご確認ください。
当方が上の出典を引いて確かめた日: